#外国居住の外国人や#外国法人が所有権の登記名義人となる登記の申請をする場合の#住所証明情報についての通達が発せられた。 #令和5年12月15日付法務省民二第1596号通達
当該通達に従い、次のケースにおける具体的書面を考察する。
【事例】#BVI( #British Virgin Islands #イギリス領ヴァージン諸島)のA法人が、不動産を買ったので、当該法人名義で所有権移転登記申請をする場合の住所証明情報は何か?A法人の唯一の取締役Bは、オーストラリア国籍でシンガポール在住である。
表題の通達は、外国人あるいは外国法人が、所有権の登記名義人となる登記の申請をする場合の住所証明情報の取得・提出を用意にするための通達である。特に、本件事例のようなケースでは、申請人の負担が著しく軽減される。
住所証明情報としては、原則として、登記名義人となる者の設立準拠法国の政府の作成に係る住所を証明する書面である。設立準拠法国(登記名義人となる者の設立に当たって準拠した法令を制定した国(州その他の地域を含む。))の政府(領事を含む。公証人を除く)が作成した日本の商業登記事項証明書(原本)に相当するものが該当する。
原則の変形として、①登記名義人となる者の設立準拠法国の公証人の作成に係る住所を証明する書面も可とされる。この場合、②登記名義人となる者の名称の記載がある設立準拠法国の政府の作成に係る書面等の写し(設立準拠法国の政府の作成した書面等の写し等であることが確認できるもの(日本の商業登記事項証明書に相当するものの写し等)が該当し、住所の記載のないもの、記載事項を証明する旨の記載のないもの、電磁的記録で作成されたものの写し等も含まれ)等を合わせて提出して、住所証明情報とすることができる。②の書面は、①の書面が作成された日又は登記申請の受付の日において有効な書面等の写しであること、及び、①の書面と一体となっていない書面等の写し等にあっては、原本と相違がない旨の記載及び登記名義人となる者の代表者等の署名又は記名押印がされていることを要件とする。
上記の例外として、次の①から③の書類を一括して提出して住所証明情報とすることができる。
①設立準拠法国の公証人の認証したものを取得することができないとき(※参照)は、代表者等の本国、居住国又は日本の公証人の認証したもの
②登記名義人となる者の名称の記載がある設立準拠法国の政府の作成に係る書面等の写し(Certificate of Incumbencyなど)等
設立準拠法国の政府の作成した書面等の写し等であることが確認できるもの(日本の商業登記事項証明書に相当するものの写し等)が該当し、住所の記載のないもの、記載事項を証明する旨の記載のないもの、電磁的記録で作成されたものの写し等も含まれる。
また、以下の要件を満たすものである必要がある。
①の書面が作成された日又は登記申請の受付の日において有効な書面等の写しであること。
①の書面と一体となっていない書面等の写し等にあっては、原本と相違がない旨の記載及び登記名義人となる者の代表者等の署名又は記名押印がされていること。
③当該代表者等の作成に係る設立準拠法国の公証人の作成に係る住所を証明する書面を取得することができない旨の上申書
※設立準拠法国の公証人の認証したものを取得することができないやむを得ない事情とは、法務局のホームページに例示されている。注目すべきは、代表者等が設立準拠法国に居住していない場合も含まれることだ。本事例では、A法人の唯一の取締役Bが、シンガポールに住んでいるので、「設立準拠法国の公証人の認証したものを取得することができないやむを得ない事情」に該当することになる。
・設立準拠法国に公証制度がない
・代表者等が設立準拠法国に居住していない
・代表者等が設立準拠法国に住所を有しているものの疾病、障害等により帰国できないといった事情
【事例の対応策】
BVIの法人Aの取締役Bは、上記例外に従って、書類を整えることができる。
①シンガポールの公証人の認証を受けた登記名義人となる者の名称及び住所が真実であることを宣誓した上署名した文書
②BVIの法務局の発行する証明書の写しに原本と相違がない旨の記載をして、Bが署名をした文書。但し、①の書面が作成された日又は登記申請の受付の日において有効であること
③代表者等の作成に係る設立準拠法国の公証人の作成に係る住所を証明する書面を取得することができない旨の代表者Bが署名した上申書
(注)具体的事例で法務局に住所証明情報を提供する場合は、事前に法務局に確認すること。