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韓国の戸籍にたどりつけない。

 昭和39年に韓国籍から日本国籍に帰化した被相続人の不動産の相続登記のご依頼を受けた。日本国籍に帰化した後の除籍謄本等及び帰化前の外国人登録原票の取得まではすんなりと行った。ところが外国人登録原票と除籍謄本の被相続人の生年月日が異なることを発見した。依頼者である法定相続人達からヒアリングすると外国人登録原票の当人と除籍謄本の当人は、同一人物であることは間違いなさそうだ。

 そこで、帰化した際に帰化届を提出した市役所に照会してみた。60年近く前のことなので帰化届が保管されていることはないだろうと全く期待していなかったのだが、市役所の担当者から予想外の回答があった。地区によっては60年前の帰化届が保管されているというのだ。この市は、町村合併でできた市なので町役場、村役場によっては、60年前の帰化届も保管しており、そのまま合併後の市に引き継がれたのではないかと推測する。そして、幸いなことにこの被相続人の帰化届が保管されていた。帰化申請の窓口となった法務局が交付した身分証明書もあるという。しかし、帰化申請書と身分証明書のいずれも戸籍の生年月日と一致していた。つまり帰化の際に作成された戸籍には誤りはなかったことになる。となると、外国人登録原票の記載の生年月日の方が誤っていることになるのだろうか?

 次に、帰化申請の窓口になった法務局に帰化申請の際の書類が保管されているか否かを照会したが、あっさりと「そんな古い書類は保管していないと言われた」加えて、「帰化申請の際、韓国の戸籍に基づいて手続きをしていると思うから、韓国の戸籍を取得するように」と言われた。

 いずれにしても生まれた時まで、少なくとも10歳頃までの戸籍謄本等を集めるとすれば、韓国の戸籍謄本等が必要になる。ところが、また、問題がある。外国人登録原票の韓国での本籍地の記載には町名までで地番が記載されていない。以前も同様のケースがあったが、結局、町名までしか分からないと韓国の役所に申請しても該当する戸籍謄本等を取得することはできない。

 これ以上は、手の尽くしようがないので、法務局と打ち合わせて、法定相続人全員からの上申書で対応することとした。

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