渉外事件を扱っていると、相続登記の案件で、海外にいる法定相続人を探索することがあります。私がこれまで扱った事例は、海外とは言えほとんどがアメリカの場合です。アメリカ在住の日系人を探し出すのは、これまでの経験では実はあまり難しくありません。アメリカの場合、パーソンサーチ(人探し)のサービスを提供している会社がいくつかあります。これらの会社のHPサービスで、探し求める人物の情報を入力するとヒットしてきます。カードや携帯電話などと使っていれば、これらの会社のデータベースに情報が有りさえすれば、当該人物を発見できます。日本式の「高橋」や「佐藤」という名前とかつて住んでいた州だけでも、かなり絞り込めます。正確な名前と生年月日がわかれば、かなりの確率で探しだせると思います。
ところが最近パーソンサーチ会社を使ってアメリカ在住の日系人を探してみましたが、うまく行きませんでした。最初に「infotracer」という会社を使ってみましたが、依頼人が把握している15年前までの情報しかありませんでした。次に、別のパーソンサーチ会社「BeenVerified」を使いましたが、「infotracer」のサーチの結果とほとんど同じ情報でした。どうもいずれのパーソンサーチ会社も同じデータベースを使っているように思います。そこで、やむを得ずに探偵に依頼することにしました。求める人物の正式な名前と生年月日が分かっていました。当該人物の生活していた州の地区検視官事務所身元確認課への照会、市の死亡診断書データベースの調査、ホームレスシェルターへの照会、地区の複数の大病院への照会、最後の住所地の隣人への照会、Facebookの行方不明広告への掲載などなどをアメリカの調査員が行いましたが、結局、発見することはできませんでした。おそらく人との関係を絶ってホームレスをしているのではないかというのが、調査員の意見です。