しばらくご無沙汰していましたが、この間コロナ禍で人々の生活や仕事の仕方に大きな影響がありました。弊所のクライアントでも在宅勤務が主流となった会社もいくつかあります。司法書士の業務にも影響がありました。取締役会がWeb会議システムを利用しておこなわれることが多くなり、議事録の記載に注意すべき点があります。
直接にコロナ禍とは関係しないかもしれませんが、コロナ禍が後押しとなったのではないかと思うのは、商業・法人登記申手続における押印の見直しです。政府は、法令等又は慣行により、国民や事業者等に対して押印を求めている行政手続について、令和2年7月17日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2020」及び「規制改革実施計画」に基づいて見直しを行いました。それにともない商業・法人登記手続についても押印規定の見直しがされました。
法務省のホームページでは、登記の添付書類のうち押印を要する書面と押印を要しない書面が例示されています。いままでの感覚からして、これが押印なくていいの?という書類もあります。たとえば、募集株式又は募集新株予約権の総数引受契約を証する書面(商業登記法第56条第1号、第65条第1号)は、押印を要しない書面として例示されています。しかし、登記の添付書類としては、それでよいですが、もし裁判で契約の成立が争われた場合、押印がある書面とない書面では大きな差があります。書面にもよりますが、募集株式又は募集新株予約権の総数引受契約書については、押印すべきであるとクライアントに説明しています。